廃棄ロスの記録をAIに読ませたら「曜日の癖」が見えてくる。居酒屋が今日からできる分析手順

AI活用
Photo by Steve A Johnson on Unsplash (https://unsplash.com/photos/a-persons-head-with-a-circuit-board-in-front-of-it-WhAQMsdRKMI)
  1. 「廃棄が多い気はするけど、何が原因かわからない」という悩み
  2. 先に結論:高額な在庫管理システムの前に、まず「1か月分のメモ」をAIに読ませる
  3. 私がAIを実店舗の数字チェックに使っている理由
  4. ステップ1:AIが読める形で、廃棄を記録する
    1. 記録する項目は5つだけでいい
    2. 量は「だいたい」でも大丈夫。ただし単位はそろえる
    3. 記録の形はスプレッドシートが理想。でも最初はメモでもよい
  5. ステップ2:AIに「曜日別の癖」を探してもらう
    1. まずは架空の例で、どんな分析結果になるかを見てみる
    2. そのまま使えるプロンプト例
    3. 追加で聞くと理解が深まる質問
  6. ステップ3:見つかった癖を、小さな調整に落とし込む
    1. 変えるのは「1か所・1割」だけ
    2. 調整のパターンは、だいたい3種類に分けられる
    3. スタッフにも共有する。責める材料にしない
  7. AIが見つけてくれやすい、居酒屋の「曜日の癖」の例
  8. 注意点:AIの分析を使うときの落とし穴
    1. 1. 数字は必ず人間が検算する
    2. 2. 「相関」と「原因」は別もの
    3. 3. データが少ないうちは、結論を急がない
    4. 4. 食品の安全に関する判断はAIに任せない
    5. 5. 仕入れ先や顧客の個人情報を入れない
    6. 6. 廃棄を減らしすぎて、売上を落とさない
  9. 記録と分析を続けるための、小さな工夫
  10. まとめ:廃棄ロスは「記録」と「AIの分析」で、感覚から数字に変わる
    1. AI導入・業務効率化のご相談を承っています
    2. 関連

「廃棄が多い気はするけど、何が原因かわからない」という悩み

閉店後の片付けのとき、ゴミ袋に入れる刺身の端材、余った仕込み済みの煮物、使い切れなかった野菜。「今日も結構捨てたな」と思いながら、次の日にはまた同じ量を仕込んでいる。居酒屋や小さな飲食店をやっていると、こうした経験は誰にでもあるはずです。

廃棄ロスは、売上のように毎日レジに数字が出てくるものではありません。しかも「天気が悪かったから」「団体がキャンセルになったから」と、理由をその都度つけて納得してしまいがちです。そのため、毎週同じパターンで起きている無駄に気づけないことが多いのです。

この記事では、廃棄ロスの記録をAI(ChatGPTなどの対話型AI)に読ませて、「うちの店は何曜日に、何を、どんな理由で捨てているのか」という曜日の癖を見つける手順を解説します。専門的な分析ソフトも、データサイエンスの知識も必要ありません。必要なのは、スマホのメモか手書きノートに残した数週間分の記録だけです。

この記事を読み終えると、次のことができるようになります。

  • 廃棄ロスを、AIが分析しやすい形で記録する方法がわかる
  • AIにそのまま貼り付けて使える質問文(プロンプト)がわかる
  • 見つかった曜日の癖を、仕込み量や発注の調整に落とし込む流れがわかる
  • AIの分析を鵜呑みにしないための注意点がわかる

なお、記事中に出てくる店舗の数字や曜日ごとの傾向は、手順をわかりやすく説明するための架空のサンプルです。実在の店舗のデータではありません。ご自身の店の数字に置き換えて読んでください。

先に結論:高額な在庫管理システムの前に、まず「1か月分のメモ」をAIに読ませる

先に結論:高額な在庫管理システムの前に、まず「1か月分のメモ」をAIに読ませる
Photo by Steve A Johnson on Unsplash

飲食店向けの在庫管理・食品ロス分析のサービスは数多くあります。ただ、いきなり導入すると、毎月の費用が発生するうえ、入力の手間が増えてスタッフが続かないこともあります。

私が実店舗の運営で感じているのは、最初の一歩は「記録の習慣づくり」と「AIに読ませて仮説を立てる」だけで十分ということです。必要なのは次の3つだけです。

  • 記録:閉店後に1日3分、捨てたものをメモする(日付・品目・量・理由)
  • 分析:2〜4週間分をAIに貼り付けて、曜日別の傾向を出してもらう
  • 調整:見つかった癖に対し、仕込み量を1割だけ変えて、結果をまた記録する

AIは「これを減らせ」と命令してくれる存在ではありません。人間が見落としているパターンを、数字から拾い上げてくれる存在です。最終的な判断は、お客さんの顔を知っている店主がします。この役割分担を意識すると、AIは非常に頼れる相棒になります。

私がAIを実店舗の数字チェックに使っている理由

私がAIを実店舗の数字チェックに使っている理由
Photo by Hitesh Choudhary on Unsplash

私はトレーディングカード・コレクティブルの実店舗を経営しており、EC(ネット販売)も16年以上続けてきました。業種は居酒屋とまったく違いますが、「在庫を持つ商売」である点は共通しています。

実店舗では、売上集計、在庫や買取価格の相場チェック、店頭POPの作成、スタッフへの業務指示、店長との会議資料づくりなどにAIを使っています。その中で実感しているのは、「数字を一覧にして眺めるだけでは気づかないクセが、AIに『曜日別にまとめて』と頼むと一瞬で浮かび上がる」ということです。

在庫を抱える商売は、仕入れや仕込みを「感覚」で決めがちです。感覚は大事ですが、思い込みも混ざります。「週末は必ず多く出るはず」と決めつけていたら、実は金曜より日曜のほうが動かなかった、ということはよくあります。この感覚と数字のズレを、AIは冷静に指摘してくれます。

居酒屋の廃棄ロスは、この「感覚と数字のズレ」が最も表れやすい分野の一つだと考えています。食材は賞味期限が短く、ズレがそのまま「捨てる」という形で見えるからです。

ステップ1:AIが読める形で、廃棄を記録する

ステップ1:AIが読める形で、廃棄を記録する
Photo by Roman Budnikov on Unsplash

記録する項目は5つだけでいい

最初から細かく記録しようとすると、まず続きません。閉店後の疲れた状態で、何十項目も書けるはずがないからです。最低限、次の5項目だけにしてください。

  1. 日付と曜日
  2. 品目(例:刺身盛り合わせ、だし巻き用の卵、サラダ用レタス)
  3. 捨てた量(個数、人前、またはグラム数)
  4. 理由(「仕込み過多」「期限切れ」「注文ミス」「団体キャンセル」「調理失敗」など)
  5. その日の客数の感覚(多い・普通・少ない)と、気づいた特記事項(雨、近くでイベントなど)

特に「理由」は重要です。同じ廃棄でも、仕込み過多なのか、調理ミスなのか、予約キャンセルなのかで、打つべき対策がまったく変わります。理由の選択肢を最初に4〜6個決めておき、スタッフが選ぶだけにすると続きやすくなります。

量は「だいたい」でも大丈夫。ただし単位はそろえる

正確なグラム数を毎回量る必要はありません。ただ、「今日は多め」「ちょっと」といった曖昧な書き方だけは避けましょう。AIが集計できないからです。

おすすめは、品目ごとに単位を固定してしまうことです。たとえば、刺身は「人前」、野菜は「kg」、揚げ物の種は「個」、といった具合です。

もし重さで残したい食材があるなら、1g単位で量れて、容器の重さを差し引ける(風袋引き機能)デジタルキッチンスケールが一つあると便利です。数字がブレないので、あとで分析するときに信頼できます。

デジタルキッチンスケール(1g単位・風袋引き機能付き)

記録の形はスプレッドシートが理想。でも最初はメモでもよい

GoogleスプレッドシートやExcelに、1行につき1つの廃棄を入力していくのが理想です。ただ、いきなりそこまでやらなくても大丈夫です。スマホのメモ帳に、次のように1行ずつ書くだけでも、AIは読み取れます。

3/3(月) 刺身盛り 4人前 仕込み過多 客少なめ
3/3(月) 揚げ出し豆腐の種 6個 期限 客少なめ
3/4(火) 刺身盛り 2人前 仕込み過多 普通
3/7(金) だし巻き 卵3個分 調理ミス 客多め

手書きのノートの場合は、スマホで写真を撮り、AIに画像として読み込ませる方法もあります。ただし、読み取り間違いが起きやすいので、取り込んだあとに必ず目で確認してください。

ステップ2:AIに「曜日別の癖」を探してもらう

まずは架空の例で、どんな分析結果になるかを見てみる

ここでは手順の理解のために、架空の居酒屋の4週間分の廃棄データを想定します。実際には、廃棄の記録をそのまま貼り付けることになります。

たとえば、4週間の記録をAIに読ませて、次のような集計が返ってきたとします(すべて架空の例です)。

曜日 廃棄の件数 主な理由 目立つ品目
月曜 多い 仕込み過多 刺身、揚げ物の種
火〜木曜 少なめ 期限切れが少し 葉物野菜
金曜 普通 調理ミス、注文ミス だし巻き、串物
土曜 普通 予約キャンセル コース用の食材
日曜 やや多い 仕込み過多 サラダ、おひたし

こうして表にしてみると、「月曜は週末の流れで多めに仕込んでいるが、実際は客足が落ちる」「日曜は週末の勢いで仕込みすぎる」といった仕込みの量が客数の実態と合っていない曜日が浮かび上がります。

実際の店でも、こうしたことは頻繁に起きます。人間は直近の忙しさに引っ張られて、翌日の仕込みを決めてしまいがちだからです。金曜の大盛況を引きずって土曜も多めに仕込み、日曜に余る、というパターンは典型例です。

そのまま使えるプロンプト例

AIに分析を頼むときのコツは、店の状況と、知りたいことを具体的に書くことです。次の文章を、そのままコピーして使ってみてください。(【 】の部分はご自身の店に合わせて変更してください)

あなたは飲食店の仕入れ・廃棄ロス削減に詳しいアドバイザーです。
以下は、私の居酒屋【席数20席・夜営業のみ】の4週間分の廃棄記録です。

【ここに記録を貼り付ける】

次の順番で分析してください。
1. 曜日別の廃棄件数と、主な理由を表にまとめてください
2. 品目ごとに、廃棄が多い曜日を教えてください
3. 曜日ごとの特徴的な癖(傾向)を3つ挙げてください
4. データから言えること、言えないこと(データ不足の部分)を分けて教えてください
5. 次の2週間で試せる、小さな仕込み量の調整案を3つ提案してください

注意:数字は記録の範囲だけで計算し、記録にない内容は推測であると明示してください。

特に最後の「注意」の一文が重要です。AIは、データにない内容でももっともらしく答えてしまうことがあります。「推測であると明示して」と頼んでおくことで、事実と推測を区別しやすくなります。

追加で聞くと理解が深まる質問

最初の回答が返ってきたら、そこで終わりにせず、会話を続けましょう。次のような質問が有効です。

  • 「廃棄理由が『仕込み過多』のものだけを抜き出して、曜日別に並べてください」
  • 「客数が『少なめ』の日と『多め』の日で、廃棄の傾向はどう違いますか」
  • 「廃棄量が一番多い品目を3つ挙げ、それぞれの対策案を出してください」
  • 「月曜と日曜の廃棄が多い理由として考えられる仮説を、3つ挙げてください。ただし、確かめるために私が追加で記録すべきことも教えてください」

最後の質問は特におすすめです。AIに「仮説」と「それを確かめる方法」をセットで出してもらうと、次の記録で何を足せばいいかがはっきりします。分析と記録が、一緒に育っていくイメージです。

ステップ3:見つかった癖を、小さな調整に落とし込む

変えるのは「1か所・1割」だけ

曜日の癖が見つかると、つい一気に直したくなります。しかし、いきなり大きく変えるのは危険です。仕込みを減らしすぎて品切れになれば、機会損失(売れたはずの売上を逃すこと)につながり、廃棄は減っても利益が減るという本末転倒な結果になりかねません。

おすすめは、一番目立つ癖を一つだけ選び、仕込み量を1割だけ減らして2週間試すことです。

たとえば、先ほどの架空の例なら、「月曜の刺身盛りの仕込みを、いつもより1割減らす」だけを試します。そして次の2週間、廃棄が減ったか、品切れが出なかったかを記録します。

調整のパターンは、だいたい3種類に分けられる

曜日の癖への対策は、大きく3つに分類できます。

  1. 仕込み量を調整する:曜日ごとに基準量を変える。いちばん基本の対策です。
  2. 仕込みのタイミングを変える:すべて事前に仕込むのではなく、注文が入ってから仕上げる「後仕込み」の比率を増やす。
  3. 使い切りメニューを作る:余りそうな食材を使った「本日のおすすめ」を決め、黒板やSNSで案内する。

特に3つ目は、AIと相性のいい対策です。「月曜に余りやすい食材リストはこれ。これらを使った、原価を抑えやすく、手間が少ない、居酒屋らしい一品を5つ提案して」と頼めば、メニュー案がすぐ出てきます。そこからさらに、黒板用のひとことPOPや、SNS投稿の文章案まで作ってもらえます。

私も店頭のPOPや値札、商品説明文の作成にAIを使っていますが、「余りそうなもの」「動かしたいもの」を目立たせる文章づくりは、AIがとても得意な作業です。居酒屋なら、「今日だけ」「数量限定」といった限定感のある言葉の案をいくつも出してもらい、店主が気に入ったものを選ぶ使い方が現実的です。

スタッフにも共有する。責める材料にしない

廃棄の記録は、使い方を間違えるとスタッフを責める道具になってしまいます。「誰が捨てたのか」ではなく、「どの曜日・どの品目で、どんな仕組みが原因か」を見る姿勢が大切です。

分析結果をスタッフに伝えるときも、AIに頼むと便利です。「この分析結果を、アルバイトスタッフにも伝わるように、専門用語を使わず、責める印象にならない文章で、3つのポイントにまとめて」と依頼すれば、朝礼やLINEグループで使える文章が作れます。

スタッフへの業務指示やマニュアル作成にAIを使う方法は、実店舗では非常に効果があります。「月曜は刺身盛りの仕込みを◯人前までにする」といった具体的なルールは、AIで文章化し、印刷して厨房に貼っておけば、誰が入っても同じ対応ができるようになります。

AIが見つけてくれやすい、居酒屋の「曜日の癖」の例

ここでは、一般的に起こりやすい曜日の癖を整理します。これはあくまで「よくあるパターンの例」であり、すべての店に当てはまるわけではありません。ご自身の店のデータで確かめるための「仮説リスト」として使ってください。

  • 週明け(月曜)の仕込み過多:前の週末の忙しさを引きずって、多めに仕込んでしまう。
  • 金曜の「期待しすぎ」:週末の入りを期待して仕込むが、実際には予約頼みで、飛び込み客が思ったほど来ない。
  • 土曜のキャンセル:団体や予約のキャンセルで、コース用の食材が丸ごと余る。
  • 日曜の落ち込み:連休や翌日の仕事を気にして客足が早めに引き、閉店前に余る。
  • 給料日前後の変動:曜日ではなく日付のクセが出る。月末と月初で客単価が変わる。
  • 雨の日の影響:曜日に関係なく、雨の日は客数が落ち、仕込み過多になる。
  • 近隣イベントの日:周辺の行事や試合日は混むが、終わった後に急に人が引く。

曜日だけでなく、「天気」「給料日」「近隣のイベント」といった要素も、記録に書き添えておくと、AIがより深い分析をしてくれます。追加で記録する項目に迷ったら、AIに「この記録に足すと分析が良くなる項目を教えて」と聞くのも一案です。

注意点:AIの分析を使うときの落とし穴

1. 数字は必ず人間が検算する

AIは、集計や計算を間違えることがあります。件数が合わない、合計がずれる、といったミスは珍しくありません。特に、記録の量が多いときや、表記ゆれ(「刺身盛り」「刺盛」「刺身盛合せ」など)があるときに起きやすいです。

対策として、次のことを習慣にしてください。

  • AIが出した合計を、自分で電卓かスプレッドシートの関数で再計算する
  • 品目名の書き方をそろえてから貼り付ける
  • 「この集計の根拠となる行を示して」と頼み、元データと照らし合わせる

2. 「相関」と「原因」は別もの

「月曜に廃棄が多い」という結果が出たとしても、それが月曜という曜日のせいなのか、仕込みを担当しているスタッフの癖なのか、発注のタイミングの問題なのかは、データだけでは断定できません。AIは、もっともらしい理由を提示してくれますが、それは仮説にすぎません。必ず現場の感覚と照らし合わせて、納得できるものだけを試してください。

3. データが少ないうちは、結論を急がない

2週間分や3週間分では、たまたま起きた出来事の影響を大きく受けます。たとえば、ある月曜に大きな団体キャンセルがあれば、それだけで月曜の廃棄が目立ってしまいます。できれば4週間以上、理想は2か月分の記録がたまってから、傾向を判断しましょう。AIに「この結果は、データ量から見てどのくらい信頼できそうか」と尋ねるのも有効です。

4. 食品の安全に関する判断はAIに任せない

「これは捨てなくても使えますか」「何日まで保存できますか」といった衛生面の判断を、AIの回答だけで決めてはいけません。食品の保存方法や消費期限、提供の可否は、保健所のルールや、仕入れ先・メーカーの表示、店の衛生管理マニュアルに従って判断してください。AIはあくまで、ロスの傾向を分析するための補助役です。

5. 仕入れ先や顧客の個人情報を入れない

AIに記録を貼り付けるときは、次の情報を入れないようにしましょう。

  • 予約客の氏名・電話番号・連絡先
  • スタッフの個人名(「Aさん」「スタッフ1」などの記号にする)
  • 取引先との契約条件や、具体的な仕入れ価格の詳細(必要なら概算にする)

また、AIサービスの設定や料金、データの取り扱いルールは頻繁に変わります。使う前に、利用しているサービスの最新の規約と、入力した内容が学習に使われるかどうかの設定を確認してください。この記事の内容も、あくまで執筆時点の一般的な使い方です。

6. 廃棄を減らしすぎて、売上を落とさない

廃棄ロスを減らすことは大切ですが、それが目的化すると、品切れが増え、お客さんをがっかりさせてしまいます。居酒屋は「いつ行っても好きなものが食べられる」ことが信頼につながる商売です。廃棄ゼロを目指すのではなく、「許容できるロスの範囲」を決めるのが現実的です。たとえば、「看板メニューは多少の廃棄を許容する」「ロスが出てもコストの低い副菜は欠品させない」といったルールを、AIに相談しながら決めていくのもよいでしょう。

記録と分析を続けるための、小さな工夫

分析の精度よりも、実は「記録が続くか」のほうが、はるかに大きな課題です。続けるための工夫を、いくつか紹介します。

  • 記録の時間を固定する:閉店作業の最後に「廃棄メモ」を書く、と決めてしまう。
  • 記録する場所を決める:厨房の壁に紙とペンを置く、スマホのメモを固定のホーム画面に置く、など。
  • 記録する人を限定しすぎない:全員が書けるようにしておくと、特定のスタッフの負担にならない。
  • 週に1回、AIに分析してもらう日を決める:たとえば、毎週月曜の昼に10分だけ、先週分を貼り付けて結果を見る。
  • 結果をスタッフと共有する:「記録したおかげで、こう変わった」という成果が見えると、記録の意味が伝わる。

私自身、実店舗の事務作業やスタッフへの指示は、最初は「面倒だから後回し」になりがちでした。ところが、AIに下書きを任せられるようになってからは、書く負担が大きく減り、継続しやすくなりました。人間が全部やろうとせず、AIに「下書き」と「集計」を任せることが、続けるコツです。

まとめ:廃棄ロスは「記録」と「AIの分析」で、感覚から数字に変わる

この記事のポイントを振り返ります。

  • 廃棄ロスの対策は、高額なシステムの導入より前に、まず1か月分のメモをAIに読ませることから始められる。
  • 記録は「日付・品目・量・理由・客数の感覚」の5項目だけで十分。理由を選択式にすると続きやすい。
  • AIには、店の状況と、知りたいことを具体的に伝える。「推測であると明示して」と頼むことで、事実と仮説を区別できる。
  • 見つかった曜日の癖は、1か所・1割だけ調整して2週間試す。いきなり大きく変えない。
  • AIの集計は検算する。食品の安全は人間が判断する。個人情報は入れない。
  • 廃棄ゼロを目指さず、「許容できるロスの範囲」を決める。

「うちのような小さな店に、AIなんて関係ない」と思っている方にこそ、まず試してほしい使い方です。特別な機材もプログラミングの知識も要りません。今日の閉店後に、捨てたものをスマホのメモに3行書くところから、始められます。

最初の一歩として、まずは明日から2週間、廃棄したものを「日付・品目・量・理由」で記録することをおすすめします。そのデータをAIに貼り付けて、「曜日別に傾向をまとめて」と聞いてみてください。きっと、「あ、そういえばそうだった」と思い当たる、自分の店だけの癖が見つかるはずです。

もし、「自分の店の記録をどう整理すればいいかわからない」「スタッフに使ってもらう仕組みづくりまで相談したい」といった場合は、AI導入のご相談も承っています。EC運営と実店舗運営の両方で、AIを実務に取り入れてきた経験から、現場に合わせた形でお手伝いします。

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