商品ページを直したいけれど、何が「悪い言葉」なのか自分では分からない
Amazonに出品していると、こんな状態になったことはないでしょうか。
- アクセスはあるのに、なぜか注文につながらない
- 商品説明を何度も読み返しているのに、どこを直せばいいか分からない
- 自分で書いた文章なので、客観的に見られない
- 購入者から「思っていたのと違う」と返品や問い合わせが来る
私はEC運営を2010年から16年以上続けています。Amazon、メルカリShops、eBay、Shopifyなど複数のプラットフォームで、中古品を実際に在庫として持って販売してきました。その中で痛感しているのは、商品ページの文章は書いた本人が最も読めないということです。
そこで、AIに「購入をためらわせる言葉」を洗い出させ、直した後の販売数の変化を追いかけてみました。この記事では、その手順と、やってみて分かった落とし穴をお伝えします。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- AIにネガティブワードを検出させる具体的な指示文(プロンプト)
- 「消すべき言葉」と「絶対に消してはいけない言葉」の見分け方
- 改善前後の販売数を、できるだけ公平に比べるための記録方法
- AIの提案をそのまま使うと危ない場面
なお、AIサービスやAmazonの仕様・ルールは頻繁に変わります。本記事の内容は執筆時点のものですので、最終的にはセラーセントラルの最新の案内もあわせてご確認ください。
結論:ネガティブワードは「全部消す」のではなく「仕分ける」

先に結論をお伝えします。
AIに「ネガティブな言葉を消して」と頼むのは危険です。頼むべきなのは「仕分け」です。
商品ページのネガティブな言葉には、実は2種類あります。
- 消してよい(むしろ消すべき)言葉:出品者の自信のなさ、言い訳、あいまいな表現など。購入者を不安にさせるだけで、情報としての価値がないもの
- 消してはいけない言葉:傷、欠品、動作未確認、互換性がないことなど。購入者の判断に必要な事実情報
私が扱っているのは中古品なので、この区別は特に重要です。状態の悪い部分を隠せば一時的に売れても、返品、低評価、場合によってはアカウントの健全性に関わる問題に発展します。
つまり目指すのは「ネガティブな事実を消す」ことではなく、「ネガティブな事実を、不安を与えない伝え方に変える」ことです。AIはこの仕分けと言い換えが得意です。ただし、最終判断は必ず人間が行います。
また、高額なツールや有料の分析サービスは必要ありません。ChatGPT(執筆時点の現行モデルはGPT-5系)などの対話型AIと、セラーセントラルに最初から入っているレポート機能だけで十分に検証できます。
ステップ1:商品ページの文章を「テキストで一か所に集める」

最初の作業は地味ですが、ここが検証の土台になります。
集める文章の範囲
次の項目をメモ帳やスプレッドシートにコピーします。
- 商品タイトル
- 商品の特徴(箇条書き部分)
- 商品説明文
- コンディション説明(中古品の場合)
- 画像内に入れている文字(ある場合)
さらに、可能であれば購入者の声も一緒に集めます。具体的には次のようなものです。
- カスタマーレビューの低評価部分
- 返品理由のコメント
- 購入者からのメッセージ
自分では気づかない「不安ワード」は、実は購入者の言葉の中に隠れています。たとえば、説明文では「ほぼ新品です」と書いているのに、返品理由に「思ったより使用感があった」と書かれているなら、「ほぼ新品」という表現そのものが期待値を上げすぎている可能性があります。
最初に必ず確認すること:個人情報を入れない
AIに貼り付ける前に、次のものが混ざっていないか確認してください。
- 購入者の氏名、住所、注文番号
- 自社の仕入れ先や仕入れ価格などの内部情報
- メッセージのやり取りに含まれる個人が特定できる情報
返品理由やレビューを使う場合も、文面だけを抜き出して、個人が特定できる部分は削除してから使います。これは後述の注意点でも触れますが、とても大切な習慣です。
最初は「1商品」ではなく「3〜5商品」から
いきなり全商品を直そうとすると、何が効いたのか分からなくなります。私は、売上がそこそこあり、状態や条件が似ている商品を数点選ぶところから始めました。同じ商品カテゴリで、価格帯も近いものを選ぶと、あとで比較しやすくなります。
ステップ2:AIに「仕分け」を依頼する

集めた文章をAIに渡します。ここで使う指示文が最も重要です。私が使っている形を紹介します。
使用するプロンプトの例
あなたはAmazonの商品ページを改善する専門家です。以下の商品ページの文章から、購入者に不安や迷いを与える可能性のある言葉・表現を洗い出してください。
洗い出した表現は、次の3つに分類してください。
A:削除してよい表現(出品者の言い訳、自信のなさ、あいまいな表現など)
B:言い換えるべき表現(事実は残したまま、不安を与えない伝え方に変えられるもの)
C:削除してはいけない表現(状態・欠品・動作・互換性など、購入判断に必要な事実)
それぞれについて「該当箇所」「分類した理由」「言い換え案(Bのみ)」を表形式で出してください。
ただし、商品の状態や事実を隠したり、実際より良く見せたりする提案は絶対にしないでください。
【商品情報】(ここに文章を貼る)
【購入者の声】(ここに低評価や返品理由の文面を貼る)
ポイントは3つあります。
- 3分類にすること:「ネガティブな言葉を探して」だけだと、AIは事実情報まで削除対象にしてしまうことがあります
- 「事実を隠さない」と明記すること:この一文があるだけで、提案の質が大きく変わります
- 購入者の声も渡すこと:出品者目線だけでなく、購入者目線で拾えるようになります
AIが拾ってくれたネガティブワードの代表例
実際に検出された傾向を、分類ごとに整理します。
A:削除してよかった表現
- 「素人保管のため」「素人採寸のため」(自信のなさが伝わり、品質への不安につながる)
- 「ご理解いただける方のみ」「神経質な方はご遠慮ください」(購入者を突き放す印象になる)
- 「たぶん」「おそらく」「かもしれません」(情報としての信頼性を下げる)
- 「安物ですが」「それなりに」(価値を自分で下げている)
- 冒頭に長く置いた謝罪や言い訳の文章
これらは、事実の情報量が増えない言葉です。消しても購入者が失うものがありません。
B:言い換えた表現
ここが一番効果の出やすい部分です。たとえば次のような言い換えです。
- 「傷があります」 → 「背面の角に長さ約2cmの擦り傷があります(画像3枚目参照)。使用上の支障はありません」
- 「多少の使用感があります」 → 「全体に軽い使用感があります。目立つ傷や汚れは画像でご確認いただけます」
- 「返品はお断りします」 → 「ご購入前に画像と状態説明をご確認ください」
- 「〜はできません」の連続 → 「できること」を先に書き、できないことは別枠で簡潔に記載
ポイントは、「あいまいな不安」を「具体的な事実」に置き換えることです。購入者が不安になるのは、悪い事実そのものより、「どの程度悪いのか分からない」状態です。
なお、Amazonでは返品に関する扱いにルールがあり、商品説明で購入者の権利を一方的に制限するような書き方は問題になる場合があります。この点は執筆時点の規約を、必ずセラーセントラルで確認してください。
C:消してはいけなかった表現(ここが一番大事)
AIがこちらに分類してくれたことで、むしろ助かった言葉があります。
- 「動作未確認」「通電のみ確認」
- 「付属品なし(本体のみ)」
- 「説明書欠品」
- 「対応機種は〇〇のみ。△△には使用できません」
- 「箱に潰れあり」
これらは確かに、ネガティブな響きを持つ言葉です。しかし、これを消すと購入者は誤解したまま購入し、届いてから「話が違う」となります。短期的な売上と引き換えに、返品・低評価・クレームを買うことになるのです。
私自身、EC運営の長い経験の中で、状態説明を丁寧に書いた商品のほうが、結果的にトラブルが少ないと強く感じています。ネガティブな事実は隠さず、分かりやすい位置に、淡々と、具体的に書くのが基本です。
実店舗の値札・POPでも同じ点検ができる
余談ですが、私はトレーディングカードの実店舗も経営しており、店頭の値札やPOP、商品説明にも同じ方法を使っています。たとえば「ワケあり」「ジャンク」「状態そこそこ」のような表現は、お客様にとっては何がどう悪いのかが分かりません。AIに点検させると、「どこがどの程度なのか」を書き足すべき箇所をすぐに指摘してくれます。
ECでも実店舗でも、「不安を与える言葉」は「情報不足」の裏返しであることが多いのです。小さな個人商店でも、手元のスマホとAIだけでこの点検ができます。
ステップ3:1つずつ直して、数字を記録して比べる
ここまでで、直す文章はそろいました。最後に、本当に効果があったのかを確かめるステップです。実はここが最も雑になりがちで、「直したら何となく売れた気がする」で終わってしまう人が多い部分です。
使う数字は、セラーセントラルで見られる3つで十分
セラーセントラルの「ビジネスレポート」には、商品ごとのアクセスや売上を確認できる画面があります(名称や配置は変更されることがあるため、執筆時点の呼び方です)。次の3つに絞って記録します。
- セッション数:商品ページが見られた回数
- ユニットセッション率:ページを見た人のうち、購入した人の割合(いわゆる購入率)
- 注文数(販売数):実際に売れた数
ここで重要なのは、文章の改善で直接影響を受けるのは「購入率」だということです。アクセス数は広告や検索順位の影響を強く受けます。販売数だけを見ると、文章の効果なのか、アクセスが増えただけなのか分からなくなります。
記録のフォーマット
私は、スプレッドシートに次のような項目を作って記録しています。
- 商品名(または管理番号)
- 変更日
- 変更内容(どの言葉をA/B/Cのどれとして、どう直したか)
- 変更前の期間のセッション数・購入率・販売数
- 変更後の期間のセッション数・購入率・販売数
- 同時期に起きたこと(価格変更、広告の変更、在庫切れ、セール、レビューの増減など)
最後の「同時期に起きたこと」の欄が、実は一番大切です。これを書かずに比べると、後から見て何も判断できなくなります。
公平に比べるための4つのルール
- 変更は1回に1商品群、1種類まで:文章と画像と価格を同時に変えない
- 比較期間はそろえる:たとえば変更前の2〜4週間と、変更後の2〜4週間。曜日の偏りを避けるため、週単位で区切る
- 価格・広告・在庫状況はできるだけ固定する:変えたときは必ず記録に残す
- 季節やイベントの時期を避ける、または考慮する:大型セール前後は、文章以外の要因が大きすぎる
販売数は毎週ある程度ぶれます。1週間だけの増減で「効いた」「効かなかった」と判断せず、複数週の傾向を見てください。
実際にやってみて分かったこと
ここからは、私が実際に試して感じたことをお伝えします。具体的な数値は商品、時期、カテゴリによって大きく変わり、再現性を保証できるものではないため、ここでは傾向のみ記載します。
効果を感じやすかったパターン
- 冒頭に言い訳や注意書きが長く並んでいたページ:購入率の改善を感じやすかった
- 状態の説明があいまいだったページ:具体的な記述に直すと、購入前の問い合わせや「思っていたのと違う」という返品理由が減る傾向があった
- 「できません」が連続していたページ:できることを先に書く構成に変えると、読後の印象が変わりやすかった
ほとんど変化が見られなかったパターン
- 型番や品名で指名検索されて買われる商品:購入者は文章よりも価格や状態、出品者評価を見ていることが多く、文章を変えても動きが小さかった
- そもそもアクセスが少ない商品:数字がぶれすぎて、効果の判断ができなかった
- 価格が相場より明らかに高い商品:言葉を磨いても、価格差のほうが大きく影響していた
意外だったこと
一番の収穫は、販売数そのものよりも、「自分が無意識に使っていた言い訳表現」に気づけたことでした。長く運営していると、過去のトラブルの反省から、説明文に予防線が少しずつ積み重なっていきます。「念のため」「一応」「ご了承ください」と書き足しているうちに、ページ全体が防御的なトーンになっていたのです。
海外EC顧客への対応でも、状況に応じて対応トーンを使い分ける経験を重ねてきましたが、商品ページでも同じで、トーンが防御的か、誠実で具体的かで、購入者に与える印象は大きく変わると感じます。
AIは感情がない分、「この文章を購入者が読んだらどう感じるか」を冷静に指摘してくれます。人間の目だけでは気づきにくい癖を拾ってくれるのが、一番の価値でした。
注意点:AIの提案をそのまま使うと危ない場面
1. 事実と異なる表現にしない
AIは「購入者に好印象を与える言い換え」を提案する際、実際より良い状態に聞こえる表現を出してくることがあります。たとえば、「傷あり」を「味のある風合い」と言い換えるような提案です。これは購入者の誤解を招き、返品や低評価につながります。必ず実物と照らし合わせて確認してください。
2. Amazonの規約・ガイドラインを確認する
Amazonには、商品タイトルの文字数や使用できる表現、中古品のコンディション表記の基準などのルールがあります。AIはこれらの最新の規約をすべて把握しているわけではありません。AIの出した文章を反映する前に、セラーセントラルのヘルプで該当ルールを確認してください。ルールは変更されるため、執筆時点の情報に頼りすぎないことが大切です。
3. 個人情報・内部情報を入れない
前述のとおり、AIに貼り付ける文章には、購入者の個人情報、注文番号、仕入れ先、仕入れ価格などを含めないでください。利用するAIサービスのデータの取り扱い設定(入力内容が学習に使われるかどうかなど)も、一度確認しておくと安心です。
4. 効果を断定しない
販売数は、文章以外にも価格、在庫、広告、競合、季節、レビューなど多くの要因で動きます。「文章を直したから売れた」と断定せず、「文章の変更が影響した可能性がある」程度に受け止め、複数の商品で傾向を見るようにしてください。
5. 最終チェックは必ず人間が行う
AIは誤った情報をもっともらしく書くことがあります。特に、対応機種、サイズ、材質、スペックなどの数値や固有名詞は、AIが勝手に補ってしまうことがあります。反映前に、実物・仕様書・仕入れ時の情報と照合することを徹底してください。
まとめ:まずは1商品、30分から始めてみてください
この記事のポイントを振り返ります。
- ネガティブワードは「全部消す」のではなく、A(削除)・B(言い換え)・C(残す)に仕分ける
- 中古品や状態に関する事実情報は、消さずに具体的に、淡々と書く
- 不安を与える言葉の多くは、情報不足の裏返しである
- 効果の確認は、セッション数・購入率・販売数の3つを変更前後で同じ期間比べる
- 同時期の価格・広告・在庫の変化も必ず記録する
- AIの提案は、事実確認・規約確認・個人情報の除外を人間が行ったうえで使う
高額なツールも、特別な知識も必要ありません。次のアクションとして、まずは次の3つを試してみてください。
- 売上のある商品を1つ選び、タイトルから説明文までをテキストにまとめる
- 本記事のプロンプトをもとにAIへ「A・B・C」の仕分けを依頼する
- 変更日と変更前の数字を記録してから、1か所だけ直してみる
この小さな検証を繰り返すと、自分のお店・自分の商品に合った「刺さる言葉」「不安にさせる言葉」の傾向が見えてきます。これは、Amazonだけでなく、実店舗のPOPや接客トークにも応用できる財産になります。
「自分の商品ページでどこから手をつければいいか分からない」「プロンプトを自分の商材に合わせて調整したい」「実店舗の販促物にも応用したい」といった場合は、運営者が提供しているAI導入のご相談もご活用ください。ご自身のペースで、まず小さく試すところから一緒に考えていきましょう。
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